隠れ増税にご注意を
黄金の三年間ならぬ、増税の三年間が始まりましたが、表だった増税のみならず、「隠れ増税」にも注意が必要です。
日本の送電網は脆弱です。
例えば、西日本から東日本へ電気を送る際に、送電網の容量は210万キロワットに過ぎません。
九州はFITのメガソーラによる発電が多く、電気が「余る」事態に至っています。
とはいえ、送電網(厳密には送電会社間ネットワーク)が貧弱である為、「九州で余ったメガソーラの電気を、東日本に送る」ことも十分にはできない。
となれば、送電網を(送電会社間ネットワークを含め)強化しようという話になりますが、当然ながら「政府」が資金を出すべきです。
あるいは、最低でもFIT事業者に負担を求めるべきです。
何しろ、FIT事業者が利益を出し続けた結果、送電網の貧弱さが露呈した。
ところが、政府は緊縮財政。自らは支出を拡大したくない。
同時に、FIT事業者に負担を求めると、政治的な反発が大きい。
となれば、消費者に負担が向かいます。
東京電力パワーグリッドなど、送配電事業者十社は7月25日、来年度から五年間の託送料金の収入見通しを発表。
十社合計は、五年平均で年4兆7705億円。
送電網の増強などが理由に、料金が現行より年4283億円増えます。
東電パワーグリッドの場合、標準的な家庭の電気料金を月100円程度押し上げる要因となるとのことです。
要するに、値上げです。
再生可能エネルギーをより受け入れるための送電網の増強や、古い設備の更新費用を、我々消費者が負担させられることになる。
国土交通省は、今年3月の福島県沖の地震による東北新幹線の長期運休を受け、JR各社に新幹線の耐震補強計画の前倒しを要請しました。
新幹線という基幹インフラの耐震化の進展は、東北・上越が高架橋66%、電柱11%、山陽が高架橋98%、電柱41%と、確かに遅れています。
(東海道新幹線はほぼ完了済み)
遅延の理由は、工事費の負担です。
またもや、カネの話。政府が費用を出せばいい。
もちろん、政府は支出を増やしたくない。
だからと言って、耐震化が進まないのも困る。
「ならば、乗客に負担を求めればいい」というわけで、各社が算出する今後の耐震化に必要な費用を、乗車代金に上乗せして賄うことが認められます。またもや、隠れ増税。
今後、繰り返されるであろう
「隠れ増税」に注意して下さい。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』より