国連、高齢化国の女性に子供を増やさないよう呼びかけ
2023年7月20日掲載 文:アンドレアス・ヴァイルツァー
国連は新たな「世界人口の現状」報告書を発表し、世界の「人口懸念」を解決するために中絶と避妊を推し進め、出生率が代替水準を下回っているにもかかわらず、各国が出生率を上げようとすべきではないと主張した。
国連人口基金は、「世界人口デー2023」に関する声明の中で、「ジェンダー平等の推進は、多くの人口問題に対する横断的な解決策である」と主張した。
「すべての人に性と生殖に関する健康と権利を実現することが、ジェンダーの平等、尊厳、機会の基礎となる」と声明は続けている。
国連が文書で何度も述べているように、「ジェンダーの平等」を達成するための主な解決策は、「性と生殖に関する権利と健康」、すなわち中絶と避妊を強化することである。
国連人口基金の「世界人口の現状2023」報告書では、中絶と避妊へのアクセスを意味する「ジェンダーの平等」はすべての国にとって有益であり、代替可能な水準以下の出生率の国であっても出生率を上げようとすべきではないと主張している。
労働生産性に懸念がある高齢化、少子化の国では、労働力における男女平等を達成することが、生産性と所得成長を向上させる最も効果的な方法であると考えられている。
国連人口部(UN DESA, 2023)が発表した2023年世界社会報告書によれば、少子高齢化の進む国々では、「(労働生産性の)必要な改善率は、定年退職年齢の引き上げや国際移住の増加・維持と並んで、労働力におけるジェンダー平等の達成にかかっている」という。
同調査によれば、出生率の向上は「2020年から2050年にかけての一人当たり所得の増加には限定的な影響しか及ぼさない」。
より多くの女性が労働力として働くことが、短期的には経済成長を高めることは事実かもしれないが、少子化と国内労働力の減少という長期的な問題は、国連報告書では扱われていない。
国連報告書は、出生率の向上は長期的な解決策であり、2050年までは一人当たりの所得に大きな影響を与えないことを認識していない。
ほとんどの先進国で人口が減少しているにもかかわらず、出生率の上昇に反対しているのだ。
中絶を禁止しても中絶は減らないという国連の間違った主張
国連の報告書は、中絶を違法化しても中絶の数は減らず、より多くの "安全でない中絶 "をもたらすだけだと主張している。
「安全であろうとなかろうと、人工妊娠中絶の需要がなくなることはありえない」と報告書は述べている。
「中絶を制限しても中絶が減るわけではないことが広範な調査で明らかになっているにもかかわらず、政策立案者は安全な中絶に対する法的障壁を制定し続けている。中絶を制限しても中絶の数は減らないということが、広範な調査によって明らかになっているにもかかわらず、政策立案者は安全な中絶を妨げる法的障壁を制定し続けている。
この推論にはいくつかの問題がある。まず第一に、中絶は常に胎児を殺すものであり、したがって決して "安全 "ではない。第二に、合法的な中絶は、妊婦に死を含む深刻な健康上の合併症を引き起こす可能性もある。
さらに国連報告書は、英国政府、オランダ政府、国連そのもの、中絶推進派のWHO、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金提供を受けたジョナサン・ベアラックらの研究を、彼らの主張の「証拠」として引用している。
Bearakらは、中絶が広く合法である国と、違法または制限されている国の中絶率を比較し、"中絶が制限されている環境で中絶率が低いという証拠は見つからなかった"。
中絶が違法である国における違法な中絶による死亡者数については、1973年のロー対ウェイド事件以前にアメリカで違法な中絶によって死亡した女性の数を大幅に誇張していたことを中絶推進派の活動家が認めており、中絶合法化という自分たちのアジェンダを推進するためには嘘をつくことも厭わなかったことを示していることを考慮しなければならない。
Bearakらが引用した数字が正確であったとしても、ある国で中絶を禁止したり制限したりしても、中絶が減るわけではないということになる。この命題が真実であることを示すためには、中絶を制限する前と後の国や州の中絶数を比較しなければならない。
たとえばルーマニアでは、1966年に共産党の独裁者ニコライ・チャウシェスクによって中絶が非合法化され、その翌年、公式統計によれば中絶件数は約79%減少した。
1990年に中絶が再び合法化されると、中絶率は再び急上昇し、1989年の数字と比較して約80%も増加した。
アメリカでは、ロー対ウェイド裁判が逆転して以来、中絶が非合法化された州では中絶数が減少し出生率が高くなっただけでなく、全米の中絶率も全体的に減少している。