第24代陸上幕僚長: 冨澤暉氏の告白
元幕僚長たちの告白
メディア・政府が隠す「戦後日本の”本質”」
第3章 第24代陸上幕僚長: 冨澤暉氏の告白
〜尖閣、台湾、沖縄… 中国軍の台湾侵攻のシナリオ〜 より
◆台湾は 国連で認められた国ではないから他国に集団的自衛権の行使を要請できないの
です。
それを日本人はほとんど知りません。
ですから、「要請のないまま日米が台湾に軍を出動させれば、中国の一部に侵略したことになる」ということを、よく承知 しておく必要があると思います。
◆「安保理決議のない有志連合軍の出動は国連憲章違反だ」という意見も逆 にあるけれども、それを安保理が憲章違反だとして指弾したことはありません。
なぜなら、その連合軍には通常安保理事国の1つが関わっているからです。アメ リカが入っていれば、それを国連でもって、安保理でもって、「これは国連憲章 違反じゃないか」と言っても、アメリカが「Not(ノット)」「 No(ノー)」と言った ら、これが通ってしまいます。
有志連合軍はこれまで米軍をリーダーとする世界 的に大規模な連合軍であったが、このところ地域や国益に応じた 2 国から数か 国の小規模な連合軍をつくる趨勢(すうせい)が見られます。これをパートナーシップ安全保障といいます。
このパートナーシップと有志連合軍が一体になるも のもあるということです。
「PKO のパートナーシップ平和構築」というものもありますし、「AUCUS(オーカス)」や「クアッド」というのも、日米安保条約とは 別にある組み合わせなのです。
◆台湾有事というのは戦争なのでしょうか?
台湾有事は台湾が国連加盟国ではないので、台湾が他国に支援を要請しても他国は集団的自衛権の発動ができません。他国連合が国連憲章に基づいて「世界平和を破壊するもの」と認め、経済制裁に続き軍事制裁をかけて停戦に持ち込むしかありません。
停戦ではなく、台湾側の勝利とすることは、米国を含む連合国側にもできません。
台湾に来たときに反撃をして、北京まで攻めていくということは絶対にあり得ません。
現状維持はどこまで続けられるのかという問題です。