From:伊勢雅臣
■1.NHKの国際放送が中国の反日番組を流している!?
パリのホテルでテレビをつけたら驚いた。
NHKの国際放送をやっていたので、日本のニュースでも見られるかと思ったら、放映していたのは何と中国のある地方を取り上げた中国製の観光番組だった。
「NHKは日本の公共番組だろう。なんで日本の視聴者の金を使って、中国の宣伝をしているんだ」とあきれてしまった。
こんな経験は私だけではない。
もっとひどい番組もあったと『増補版 これでも公共放送かNHK! :君たちに受信料徴収の資格などない』[1]を読んで知った。
平成25(2013)年4月12日、自民党の鬼木誠・衆議院議員は予算委員会において、NHKの反日偏向報道の問題を提起した際、次のような自身の体験を披露した。
その前年2012年8月、滞在中の中国でNHKの国際放送を見た際、当時開催中のロンドン・オリンピックに関する放送は一切なく、連日、反日反戦番組のダイジェスト版が流されていたという。
日本の公共放送が日本の悪行を世界中に放送しているのである。
これは公共放送として許されざる姿勢だという、
実に正鵠を射た指摘であった。
これに対するNHK側の答弁は「オリンピック放送はIOCとの取り決めで国際放送では流せないし、8月は戦争と平和を考えるという視点で、事実に基づいて客観的な立場から放映している」というものだった。
オリンピックはビデオ放映は出来なくともニュースは流せるはずだし、中国の反日番組を流すにしても、事実かどうか、日本側の立場からの検証はあるべきだ。
私は世界各地で在外邦人と出会ったが、NHKの海外放送を楽しみにしているとは聞いた事がないのも、こんな放送をしているからだろう。
外国人で日本語の勉強のためにNHK海外放送を見ている人もいるだろうが、こんな放送では視聴者が少ないことを祈るばかりである。
■2.NHKは中共宣伝部の下請けか?
NHKの中国べったりの姿勢は国内放送でも同様である。
なにしろ、中国共産党の中央電視台日本支部がNHK本局に同居しているのだ(韓国のKBS(韓国放送公社)も同様だが)。
「お目付役」?のもとで、NHKは時々、中共宣伝部の下請けのような放送をする。
たとえば弊誌609号、940号「NHKに巣くう報道テロリスト正・続」[a,b]では、
平成21(2009)年に放映されたNHKスペシャルシリーズ「JAPANデビュー」に対して、
日本と台湾から合計1万3千名もの原告が集まって集団訴訟に及んだ件を報じた。
これは1910年に開催された日英博覧会において、台湾の先住民族が戦いの踊りなどを披露した事を、NHKの番組が「人間動物園」と報じて、台湾の子孫と日本の名誉を深く傷つけた事件である。
この放送の4年前に中国共産党中央宣伝部の責任者・李長春が日台の離間を図る放送をすべし、との指示を出しており、この番組はそれに応える形で企画制作されたふしがある。
さらにその放映直前に李長春は来日し、NHKを訪問している。
いかにも、指示通りの番組を作ったから見てください、と言わんばかりのタイミングであった。
■3.CCTV(中国中央電視台)のニュース番組を垂れ流し
また平成25(2013)年には、田母神俊男氏他が尖閣諸島海域に船を出した時、CCTV(中国中央電視台)のニュース番組に日本語ナレーションをつけて、そのままBS1(NHK衛星第1テレビジョン)で流した。
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ニュースです。中国の海洋監視船は一日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の周辺海域で巡航を行い、違法侵入した日本の船に対して、取り締まりをすると共に主権の主張をした。・・・[1, 1001]
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このニュースはNHKの番組として世界中に配信されている。
日本の公共放送局が全く何の反論も解説もなしに、CCTVを世界中に垂れ流したことによって、日本は中共の言い分に賛同していると受け取られても仕方がない。
船に乗っていた山田健司・衆議院議員は、後日、NHKに対して尖閣領有権について質したところ、NHK側は「それは編集権の問題になる」と明答を避けた。
NHKが日本の公共放送ならば、日本政府の見解に従うのが当然なのに、領有権問題をどう解釈するかは放送局側の編集の権利だ、という事のようだ。
■4.「拷問にも等しい状況になぜ耐え続けなければならないのか」
こうしたNHKの姿勢から、「日々納得のできない腹立たしい番組が、自らの強制的に支払わされる受信料によって、制作放映され続けるなどという拷問にも等しい状況に、なぜ耐え続けなければならないのか」[1, 353]という
[1]の筆者・神奈川大学経済学部・小山和伸教授の問題提起に共感する日本国民は多いだろう。
本年7月の参院選では「NHKから国民を守る党」(以下、N国党)が比例代表で99万票も集め、党首・立花孝志氏が当選した。
4月の統一地方選挙でも26人が当選。
現職議員13人と合わせ、全国の地方議会で39議席を有するまでになった。
N国党のホームページ[2]では、同党の目的について、「NHKにお金(受信料)を払わない方を
全力で応援・サポートする政党(政治団体)です」と表明している。
払いたいくないと考える人の理由は様々だろう。
しかし、単に視聴料を節約したいという人ばかりだったら、N国党が99万票も集めはしないはずだ。
政治的な偏向のみならず、内部不祥事の多発、見ていないのに強制的に受信料を集金する事への反発等々、今や多くの国民がNHKに不信感を抱いている事が、99万票という数字に表れていると考えるのが、常識的だろう。
受信料支払率は、NHKの発表[3]によれば、2018年度末で全国平均81.2%だが、東京では69.7%、大阪では67.5%と3世帯のうち1世帯は払っていない。
これでは、公共放送として公正な視聴料徴収をしているとは、とうてい言えない。
■5.国民を搾取しているNHK
20%近くも視聴料を取りっぱぐれていながら、NHK全職員約1万人の平均給与額が、年収約1750万円というから驚きである。
国家公務員の40歳時点での平均年収約700万円に比較して2.5倍である。
さらに、平成19(2007)には、本来、余剰利益を上げてはならない特殊法人たるNHKが、
関連団体に886億円もの余剰金を退蔵していることが発覚し、会計検査院によって改善が求められている。[1, 1397]
関連団体とは、NHKが株の半数を保有している多数の子会社などであり、NHKの幹部が天下りをして高収入を得ている。
和田政宗・参議院議員のオフィシャルブログには次のような記事がある。
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昨日の自民党総務部会。
私からは、NHKで無くならないパワハラセクハラの根絶と、来年度予算が赤字見込みなのにNHK職員から理事になった人達の高額報酬について、NHKに質問しました。
NHK職員から理事に選任されると、NHK退職金約4000万円+理事報酬2200万円×2年+退職金1000万円と、2年で1億円近い収入となります。
その後も、理事経験者はNHK子会社の役員を渡り歩くことが多く、相当の収入となります。[4]
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NHKはかくも国民を搾取しているのである。
■6.「NHKで無くならないパワハラセクハラ」
和田議員の「NHKで無くならないパワハラセクハラ」含め、多発する不祥事で多くの国民を怒らせている。
たとえば、Wikipedia[5]によれば、昨年1年間で次の4件が記録されている。
・2016年及び2017年の紅白歌合戦の責任者を務めていた元部長の男性職員が、女性職員にセクハラをしたとして、停職3ヵ月の処分。
・オウム真理教の後継団体であるアレフの取材をしていた札幌放送局のディレクターが、住民らへのインタビューを録音したデータの含まれたサイトをアレフ本部へ誤送信。
(インタビューに答えた住民の安全を脅かす恐れ)
・同局のバラエティ番組『テンゴちゃん』の制作の委託を受けている会社が、街頭インタビューの映像などの含まれたファイルを、誤ったメールアドレスに誤送信。(個人情報の不当開示)
・帯広放送局の技術部副部長が、単身赴任手当など524万円を不正に受け取っていたとして懲戒免職処分。
Wikipediaでは2001年以降で合計40数件の事案が掲載されている。
年平均3件ものペースである。
いくら従業員1万人以上の大組織と言っても、日本の大企業で年に3件もの新聞沙汰を、20年近くも起こし続けている事例など聞いたことがない。
通常の企業なら、これだけ不祥事が続いたら、顧客や株主に愛想をつかされて経営が傾くはずだが、受信料強制徴収ではそういう牽制は働かないようだ。
■7.「天ぷらそば定食を注文したのに、毒入り餃子を出された」
小山教授が会長を務めるメディア報道研究政策センターでは、今まで何人もの会員がNHKの視聴料の強制徴収を違憲として、裁判を起こしてきた。
いずれもNHKが勝訴しているが、その中身は少しずつ前進している。
平成25(2013)年に東京高裁が下した判断は、次のような注目に値する指摘を含んでいた。
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控訴人(M氏)が、被控訴人(NHK)の価値観を編集の自由の下に国民に押し付けるのであれば、国民の思想良心の自由を侵害することになる旨を主張するところは、検討に値する点を含むというべきである。
被控訴人(NHK)が、一方で、公共の福祉に資することを理由に放送受信契約に基づく受信料を徴収し、他方で、編集の自由の下に偏った価値観に基づく番組だけを放送し続けるならば、放送受信契約の締結を強制され、受信料を負担し続ける国民の権利、利益を侵害する結果となると考えられるのであって、放送法は、そのような事態を想定していないといわざるを得ない。
したがって、そのような例外的な場合に受信設備設置者である視聴者の側から放送受信契約を解除することを認めることも一つの方策と考える余地がないではないといい得る。
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「公共の福祉」を理由に受信料を徴収しながら、偏った価値観に基づく番組を放送しているなら、視聴者が放送受信契約を解除することも認められる余地がある、という、ごく常識的な判断である。
日本維新の会の三宅博・衆議院議員は平成26(2014)のNHK予算審議において、反日偏向報道の例をあげて、受信料を強制的に徴収されながら、このようなとんでもない番組を見せられる視聴者について、
「天ぷらそば定食を注文したのに、中国の毒入り餃子を出されたようなものだ」と表現して、満座を湧かせた。
客が天ぷらそば定食を注文し、店が注文を受けた時点で、店は注文された料理を出し、客は対価を払うという一種の契約状態に入る。
客は注文した以上、料理を食べても食べなくとも、金を払う義務がある。
しかし、店が出した料理が毒入り餃子なら、客は契約を解除して、金を払わずに店を出る権利があるはずだ。
この高裁の判断は、こういう世間常識を認めたものである。
■8.「もはや国民の敵と言うしかない」
N国党の立花孝司党首は、8月8日に渋谷のNHK放送センターを訪れ、参院議員会館の事務所に設置したテレビに関する放送受信契約を結んだ。
現在の放送法では「契約」は義務とされているが、受信料の「支払い」は義務とは明記されていない。
契約には支払い義務が書かれているが、上述の「毒入り餃子だから払わない」というような理由で、支払いを拒否するのだろうか。
これに対して、NHK側は「お支払いいただけない場合は法的手続きを取る」としている。
あくまで現行法を盾に徹底抗戦の構えである。
さらに、ワンセグの映る携帯、カーナビも契約義務があるとの判決が下され、
番組をインターネットで流す「常時同時配信」を
可能とする改正放送法が成立し、
テレビはなくとも、パソコンやスマホを持っている人も契約義務を課される恐れが出てきた。
NHKが偏向報道、異常な高給、不祥事多発という国民からの不信感には応えないままに、法律をごり押しして、強制徴収を広げようとする姿勢には、多くの国民が怒っている。
三宅博議員は、NHKを「もはや国民の敵と言うしかない」と言ったが[1, 2325]、こうした言葉に多くの国民が共感しているからこそ、「NHKから国民を守る党」が躍進したのだろう。
ネットでは、NHK受信料の支払い拒否の方法について、様々なアイデアが掲示されている。
先日、支払い拒否している人から聞いて傑作だと思ったのは、集金人が来たらドアホンで「蝶々、蝶々、なのはにとまれ」と歌うという方法だった。
「なんで、その歌で集金人を追い返せるのですか?」と聞いたら、集金人は相手が惚け老人だと思って近寄らなくなる、という。
またNHKだけを映らなくしたアンテナ「イラネッチケー」が開発されたが、着脱可能なアンテナでは受信契約が必要、という判決が出た。
そこで小山教授の主宰するメディア報道研究センターは、着脱不可能なNHK電波遮断器を開発して、裁判所に受信契約が不要であることの法的確認を求めている。
このままNHKが偏向放送を続ければ、中国の情報支配を強める恐れがある。
それを防ぐために国内の政治が動かないのであれば、受信料の支払い拒否を通じた「兵糧攻め」しかない、と小山教授は主張している。
国民から視聴料を巻き上げて、反日偏向報道を続けるNHKは、まさに我が国の自由民主主義の基盤を破壊する「国民の敵」である。
国民がまずは「国民の敵」の正体を広く認識し、彼らに情報支配される未来を我々の子孫に残してよいものか、それを考えることが、国家共同体を護る国民の責務である。
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