情報あれこれ

主に海外保守系の記事を翻訳、更に登録している動画から、他メルマガからの抜粋ネタも掲載しています。

デジタルIDが世界各国で同時に導入された:だが、これは陰謀ではなかったのか?

C62(シロクニ)


g.calder 著 2025年10月9日

The Exposé 



過去3か月間、スイスからパプアニューギニアに至る各国政府がデジタルID政策と導入を急速に進めた。国ごとに詳細は異なるが、発信内容と導入順序は驚くほど似通っている。当初は各国が独立して動いているように見えたが、その勢いと偶然の一致は、国際的な調整の存在を強く疑わせる。背景には長年存在してきた枠組みがあり、ベンダーは設計図に沿って構築を進めてきた。その結果、各国当局が否定しようとも、上層部から調整された広範な展開が実現したのだ。


偶然か、それとも計画か?

スイスは9月28日の国民投票で国家電子IDを承認し、2021年の導入反対投票を覆した。欧州連合(EU)は今月から新たな出入国管理システムで非EU圏旅行者の生体認証情報を収集する。ベトナムは国内線全便で顔認証機能付きVNeIDプラットフォームを導入する。コスタリカは9月にモバイル国民IDを開始した。パプアニューギニア内閣は、ソーシャルメディア利用を新国民ID「サービスパス」に紐付ける政策を承認した。英国は就労資格確認の名目でデジタルID義務化の道筋を示し、請願や抗議活動を引き起こした。ラオスは各機関に新国民IDの統合を指示したばかりだ。メキシコは2026年導入に向け、国民識別番号CURPの生体認証システム刷新を完了した。エチオピア独自の「ファイダ」は全国展開を拡大中だ。ザンビアは自国システム構築に向け調達・協力協議を開始した。


これらの国々では、国民は政府固有の要件と考えている。だがこれほど多くの国々が、地球の隅々まで手を伸ばし、数ヶ月でこの技術を採用するとは?ここには共通の到達点が存在し、この計画が何年も前から進行していたという不快な現実が浮かび上がる。



デジタルIDの設計図は数年前に描かれていた

デジタルIDに関する憶測が陰謀論として片付けられていた間、世界経済フォーラムは枠組みや旅行認証の概念を公表し続けていた。デジタル世界におけるアイデンティティ(2018年)、デジタルIDの青写真(2016年)、既知の旅行者デジタルID(2020年)はガバナンスモデルを提示し、技術スタックを概説し、国境を越えたユースケースを推進した。産業界はこれらを読み進め、結果として足並みを揃えた。だから国家政治が扉を開いた時点で、設計作業は既に完了していたのだ。



国民は抵抗しようとしている

人々は、COVID-19で見られたように、目に見える問題や潜在的な脅威を解決する新技術なら、たとえ渋々でも受け入れる傾向がある。しかし今回の違いは、トレードオフが不明確で、その範囲が危険なほど広範である点だ。今回は一般市民が実態をより強く認識しているようだ。


  • 機能拡張:利用事例が国境や雇用に限定される一方、銀行・福祉・医療・教育・SIM登録・交通などへ密かに拡大する。権威ある認証情報が一つ存在すれば、あらゆる機関がアクセスを要求する。
  • 接着剤としての生体認証:顔や指紋データはシステムの耐障害性を高め、他の利用事例への魅力を増す。パスワードは変更できるが、生体認証は変更できない。
  • アクセスリスク:サービスが単一の認証情報に依存すると、エラーや排除が増加する。特定の書類を所持していない人々は、仕事、支払い、給付金、国家支援へのアクセスを失うため、従わざるを得なくなる。
  • 言論・結社の自由:パプアニューギニアがソーシャルメディアと国民IDを連携させる計画は、身分証明システムが私的交流の監視に過剰介入する典型例だ。


主要国のデジタルID導入状況

最新動向と用途の非網羅的リスト


  • EU:今月から生体認証国境検査を開始、2026年に拡大。EUウォレットとは別だが、渡航希望者向け顔・指紋の巨大IDデータベースを構築
  • 英国:就労資格確認のためのデジタルID導入を提案。非スマートフォン利用者向けオプションを約束
  • スイス:国民投票で国家電子IDを承認(賛成50.4%)。2021年の初回投票結果を覆す
  • パプアニューギニア:政策によりプラットフォーム利用が国民IDに紐付けられる
  • ベトナム:今年12月1日より国内線搭乗にVNeIDと顔認証が必須
  • コスタリカ:モバイルIDが既に導入され、全サービスで法的効力を獲得
  • ラオス:政府全体の統合命令と共に国家デジタルIDが導入
  • メキシコ:生体認証CURPの改革進行中、2026年初頭に全国展開予定
  • エチオピア:Faydaが普及拡大中。個人金融情報との連携を推進
  • ザンビア:早期調達とエチオピアとの協力を通じ独自システム構築へ
  • その他:インドのAadhaar、ナイジェリアのNIN、ケニアのMaisha Nambaは既に運用中


デジタルIDは責任を持って導入できるか?

ここでの実態は明らかだ。しかし政策立案者は、市民からの単純な質問に答えられなければならない。より多くの機関や利用ケースがアクセスを求める中で、範囲の拡大を誰が制御するのか?市民はどう検証するのか?「任意」の利用は時間とともに消える。オプトアウトは利用可能か、実用的か、それとも理論上のものか?データを誰が管理するのか?その安全性はどうか、そして実際に閲覧しているのは誰なのか?


理論上は、デジタルIDを導入する責任ある方法が存在する。とはいえ、現在の社会のニーズには不要である。我々はパスポートや社会保障番号・国民保険番号を既に持っている。だがそれには以下が必要だ。


  • 最小限の利用目的を法律で明文化し、拡張には議会の承認を義務付ける明確な目的法
  • 技術的・法的監査を完全公開する独立監視機関。権限の越境時には導入を停止できる権限を持つ
  • 生体認証は高信頼性代替手段が尽きた場合のみ収集するデータ最小化。データベースの完全分離
  • 機能的な代替手段。スマートフォンや単一のIDトークンなしでも必須サービスを利用可能とする
  • 実効性のある救済措置。迅速な是正、損害や権限乱用への補償、悪用に対する重い罰則


最終的な考察

デジタルIDは生活を簡素化したり、政府が「他の手段では解決不可能」と主張する「問題」を解決すると説明される。しかし結局、導入後は逆転不可能な形で権力を集中させることになる。近年、政策を承認したり技術を導入したりする国々の波は、この計画が長年水面下で練られてきた結果、いかに迅速に現実化するかを示している。一方で、この実態に気づいた賢明な人々は「陰謀論者」扱いされてきた。民主主義国家は、このシステムの規模を正当化し、リスクを制限し、国民に対する説明責任を維持できるのか?それとも、それらはすべて無駄な努力なのか?