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米国科学者、ヒト皮膚DNAから胚を初めて作成

C62(シロクニ)


ジェームズ・ギャラガー著 2025年10月2日

Principia Scientific International



米国の科学者らが初めて、人間の皮膚細胞から採取したDNAを操作し、精子で受精させることで初期段階の人間胚を作った。


この技術は、老齢や疾患による不妊を克服する可能性がある。体のほぼあらゆる細胞を生命の出発点として利用できるからだ。同性カップルが遺伝的に関連する子供を持つことさえ可能になるかもしれない。


この方法が不妊治療クリニックで採用されるには、大幅な改良が必要だ。その改良には10年かかる可能性がある。


専門家は「画期的な成果だが、科学が実現可能にするものについて公衆との率直な議論が必要だ」と指摘した。従来、生殖は男性の精子が女性の卵子と結合し、融合して胚となり、9か月後に赤ちゃんが生まれるという単純な物語だった。


今、科学者たちはそのルールを変えつつある。今回の最新実験は人間の皮膚から始まる。


オレゴン健康科学大学の研究チームは、皮膚細胞から核を取り出す技術を開発した。核には、身体を構築するために必要な全遺伝情報の複製が収められている。


この核を、遺伝情報を取り除いたドナーの卵子内に移植する。


現時点では、この技術は1996年に誕生した世界初のクローン哺乳類「ドリー」の羊の複製に用いられた手法と類似している。



大きな円は顕微鏡で見た卵子だ。底にある白い点は皮膚細胞から取り出した遺伝物質を中に置いたものだ。


しかしこの卵子は既に染色体のフルセットを持っているため、精子による受精の準備ができていない。


親からそれぞれ23組のDNA束を受け継ぎ、合計46組となる。この46組は卵子に既に備わっている。


次に、卵子に染色体の半分を廃棄させる段階だ。研究者らはこの過程を「ミトメオシス」と呼んでいる(この言葉は細胞分裂の二つの方法である「有糸分裂」と「減数分裂」を融合させた造語である)。



この研究は、Nature Communications誌に掲載された外部記事で、82個の機能的な卵子が作製されたことを示した。これらは精子で受精され、一部は胚発生の初期段階まで進んだ。6日目の段階を超えて発達したものはない。


「不可能と考えられていたことを達成した」と、オレゴン健康科学大学胚細胞・遺伝子治療センターの所長であるショウクラト・ミタリポフ教授は述べた。


この技術は完成には程遠い。卵子が廃棄する染色体を無作為に選択するためだ。疾患を防ぐには23種類の染色体を各1本ずつ保有する必要があるが、実際には一部が2本、他が0本となるケースが生じる。


成功率も低い(約9%)上、染色体がDNAを再編成する重要な過程である「交叉」を欠いている。


この分野の世界的権威であるミタリポフ教授は私にこう語った。「我々はこれを完成させねばならない」。


「最終的には、これが未来の方向性となるだろう。子供を持てない患者が増え続けているからだ」。


この技術は、体外で精子や卵子を作る「体外配偶子形成」と呼ばれる発展途上の分野の一環である。


この手法は臨床応用ではなく科学的発見の段階にあるが、精子や卵子がないために体外受精(IVF)の恩恵を受けられないカップルを支援する構想だ。


卵子が機能しなくなった高齢女性、十分な精子を作れない男性、がん治療で不妊となった人々を助ける可能性がある。


この分野は親の定義も再構築する。今回発表された技術では女性の皮膚細胞を使用する必要がなく、男性の細胞でも可能だ。


これにより同性カップルが、両パートナーの遺伝子を継承する子供を持つ道が開かれる。例えば男性同士のカップルでは、一方の男性の皮膚細胞で卵子を作り、もう一方の男性の精子で受精させることも可能だ。


オレゴン健康科学大学のポーラ・アマート教授は「卵子や精子の不足による不妊に悩む数百万の人々に希望を与えるだけでなく、この手法は同性カップルが両パートナーと遺伝的に関連する子供を持つ可能性を可能にする」と述べた。



国民の信頼を築く

ハル大学の生殖医学教授であるロジャー・スターミー氏は、この科学は「重要」かつ「印象的」だと述べた。


同氏は、「同時に、このような研究は、生殖研究における新たな進歩について、国民との率直な対話を継続することの重要性をさらに強めるものである」と付け加えた。


「このような画期的な進歩は、説明責任を確保し、国民の信頼を築くための強固なガバナンスの必要性を私たちに強く印象づけるものである」と述べた。


エディンバラ大学 MRC 生殖健康センター副所長のリチャード・アンダーソン教授は、新しい卵子を生成する能力は「大きな進歩となるだろう」と述べた。


同教授は、「非常に重要な安全上の懸念は残るが、この研究は多くの女性が自分の遺伝子を持つ子供を持つことを支援するための一歩である」と述べた。